2012/6/19
分かり合えるあいさつ
嬉しそうに遊び生活する姿から見えてくるもの
ゆっくりでも着実に育っていく
「えんちょうせんせい、おはよう」と毎朝立派なあいさつをしてくれるSちゃん。実は年少のときも年中のときも、みんなと一緒であれば言えるあいさつも、一対一ではどうしても言えませんでした。私と目が合うと、どうしても目をそらしたり、お母さんと一緒のときは後ろに隠れたり、モジモジしてあいさつせずにサッとくつ箱に向かって走って行ったりしていました。
- 毎朝「おはようございます」
年中の3学期ごろになり、友だちと一緒にいるときに「Tちゃん、Sちゃん、おはようございます」と声をかけたところ、にっこり笑顔で「おはようございます」とあいさつが返ってきました。Tちゃんのあいさつには及びませんでしたが、目をそらすことなくしっかりとしたあいさつでした。それ以降は、毎日園内のどこかであいさつを交わすことができるようになりました。年長になり、朝は職員室をのぞいたり、私を見つけるとかけ寄ってきてくれて「えんちょうせんせい、おはよう」と大きな声であいさつしてくれます。ゆっくりでも着実に育っていることを愛おしく感じます。
幼児のあいさつはいろいろ
すれ違いざまに私たちの身体をポンとたたく子、はたまた「バァー」なんてする子、目が合った途端にそらす子、わざとそっぽをむく子、少し離れてから名前だけ呼んでくる子……。その一つひとつの言動や仕草は、みんな「先生を意識してるよ。今日もよろしくね」という立派なあいさつではないでしょうか。
毎年来園してくださる劇団『風の子』の方が、本園の子どもたちのことを「笑顔のあいさつが素敵です」と表現してくださいました。世の中には、人を見たらその場でピンと姿勢を正してあいさつできる幼稚園もあるそうです。竹の子幼稚園の子どもたちは、嬉しそう、楽しそう、そして好奇心いっぱいで人なつっこい……。あいさつにその雰囲気がそのまま出ているそうです。あいさつが言葉にならないときでも、その眼差しが心地よいあいさつとして伝わってくるのですね。
「元気なあいさつをする」という画一的な子ども像を大人が崩したとき、子どもとの分かり合いや関わりが深まるのではないでしょうか。あいさつの仕方はひとつではありませんね。子どもたちが示すさまざまなあいさつを大人がまず楽しみ、おもしろがる余裕が必要でしょう。目を合わせることやしっかり声を出すことは、その次でもいいのかもしれません。子どもたちの、嬉しそうに遊び生活する姿から、そんなことを考えました。
- あいさつはいろいろ