2015/6/16

仲間との「遊び」はとっても大切なこと!

こだわりで成長する自律性と思考力

砂場で遊んでいた五歳児たち。片付けの時間になり、みんなでさまざまな道具を元通りにしていました。しかし三人の子どもが、遊びで掘った穴とそこに埋め込んだパイプの片付けをためらっていました。すると、他の子どもが「お片付けだよ」と言ってパイプを抜き、穴を埋めようとしたのです。

遊びの中で生まれる満足感

こだわることは子ども自身が納得したいこと
こだわることは子ども自身が納得したいこと

それに抵抗したのが、穴を掘った子どもたち。時間をかけて穴を掘り、やっとパイプをつなげたからこそ、ためらっていると思われました。それをわかってもらえずに片付けられたくないと感じたのでしょう。「片付けならちゃんと僕たちでやるからやめて!!」と叫んだのです。そのあと三人は、なんともう一度穴を広げ、抜かれたパイプを埋め込んで、ほぼ前と同じ状態に戻しました。そしてなにやら自分たちで話をして、すぐに片付けたのです。
最初にパイプを抜いた子どもは、砂場全体をきれいに片付けようと思って行動しました。その一方で、穴を掘ってパイプをつなげた子どもたちは、それらをどうやって自分たちなりに納得して片付けるか、というこだわりがあったのでしょう。決して片付けること自体が嫌だったわけではないのです。
結果だけを見れば、誰が片付けても同じ状況でしょう。しかし子ども自身が満足感を持って終わることに、大きな意味があります。

物とかかわることで愛着を育む子どもたち

物は子どもとのかかわりの中で宝物に変わっていく
物は子どもとのかかわりの中で宝物に変わっていく

最近、物に愛着を持たず忘れ物をしても平気だったり、すぐに物を捨てたりする子どもたちが増えているように思います。
遊びや生活の中では、さまざまな出来事によって物と子どもの関係が深まり、愛着が生まれてきます。大人から見れば「たかが○○」でも、子どもにとっては「されど○○」なのです。物とかかわっていく中で、石ころひとつでも、広告紙一枚でも、その子にとっては特別な意味を持ってきます。これは子どもの成長なのです。

遊びにこだわることは心の成長になる

「遊びにこだわる」ということは、子どもが頭を生き生きと働かせている状態です。こだわることは、心の成長になります。幼児期のいろいろな場面で、子ども自身が判断する余地を残すことはとても大切です。パイプを埋め込んだ三人の子どもも、大人が介入しなくとも、物とのかかわりの中で自律性と思考力を発揮しました。
砂場遊びの様子から、幼稚園生活の中心に遊びをおく意味を改めて実感することができました。

道具を使って生き生きと遊ぶ子どもたち
道具を使って生き生きと遊ぶ子どもたち

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