2018/8/21
あちこちでごっこ遊び
経験と想像力が発揮される場
ある日、4歳児のクラスをのぞいてみたときのことです。子どもたちは役割を分担して、にぎやかにごっこ遊びを楽しんでいました。
心から「ごっこ」を楽しむ
- みんなで手作り
特に盛り上がっていたのが“ピザやさん”でした。一生懸命作ったであろう、おいしそうなピザを机の上に並べて「できたておいしいですよ」「いろいろありますよ」と呼びかけています。「このお皿にのせてください」「食べるところはあっちのテーブルです」と、説明係の子どもが教えてくれました。
思わず「わぁー、すごい! この赤いのはなあに?」と聞くと「それはねー、おいしいおいしいトマトですよ」と得意げに答えてくれました。別の子どもは、どのように作ったのか嬉しそうに説明してくれます。話を聞いているうちに、おいしそうなにおいがしてきたような気がして、本当に食べたくなりました。
そんな私の気持ちをわかってもらえたのか「買えますよ。10円でいいですよ」と声をかけてくれました。「わあー困った、お財布をわすれちゃった」と少しオーバーアクションで困り感を伝えると、少し離れたところにいた男の子が駆け寄ってきました。そして「いいよいいよ、今だけタダでいいよ。ねー」と言ってくれたのです。
私はできたてホヤホヤのトマトピザをお皿にのせて、テーブルに移動しました。3人の女の子がついてきて「おいしい?」「おいしいでしょう」と次々に声をかけてくれます。一口二口食べるポーズをとり「うーんおいしい。ホッペがおちそう」と言ったら「園長先生がホッペがおちそうだって」「おいしすぎるって」と、大喜びでみんなへ伝えに走っていきました。
- 笑顔あふれる遊びの輪
「ごちそう様でした」と食器を返しました。すると「今日はタダ」と言ってくれた男の子が、小声で「こんどはタダじゃないよ」とニンマリ笑顔で話しかけてくれました。その仕草がかわいくて、私も思わず笑顔になったのでした。
年齢ごとの発達の姿が反映される遊び
ごっこ遊びを楽しむ子どもたちは、これまでの生活や遊びで得た経験をもとにしながら、想像力をフル回転させています。遊び道具の使い方などを工夫し合って、発展させる力にも感心させられます。人はつながって人として育っていくことを、子ども同士のかかわりが何よりも実感させてくれます。ごっこ遊びには、3歳・4歳・5歳と、その年齢ごとの発達の姿が映し出されるのです。その時期その時期の子どもの世界を大切にできるよう、幼稚園の環境づくりに十分配慮して頑張りたいと改めて思う時間でした。