2012/8/21

『ちょうどよい』を知る

そして深い意味の『優しさ』を知る

「お友だちには優しくしましょうね」と大人に言われれば、ほとんどの子どもたちから迷わず「はーい!」と元気な返事が返ってきます。でもそのほとんどは、口先だけのことが多いですね。大人の願う『優しく』するって簡単なことではありません。

相手に直接触れて『ちょうどよい』を知る

「ちょうどよい」を経験
「ちょうどよい」を経験

「優しくタッチしてね」と言われても、遊びに夢中になると、つい力を入れ過ぎて「痛いなあ、何なんだよ!」と相手を怒らせてしまうこともよくあります。ワクワク感がいっぱいになると、つい大声になってしまい「うるさいなあ」と言われてしまうこともあります。
一方、大人の願いに応えようとする子どももいます。そういう子たちは遊びになかなか入り込めずに、モジモジしてしまいます。『ちょうどよい』を知るには相手に直接触れて、自分がこれぐらいの力で何かをすると、相手はどうなるかを体験的に確かめることしかないでしょう。幼児期の遊びこそ、その実践の場です。幼児期なら子ども同士遊びながら、そのうえケガをせずに経験を積むことができます。

友だちの力を借りて育ち合っていく子どもたち

ある日、園庭で4歳児が『へびジャンケン』をしていました。曲がりくねった線の上を両端から子どもが一人ずつ走ってきて、お互いの両方の手と手をうまく合わせ、最初は「グー」とジャンケンポンをします。勝った子は先に進み、負けた子は次の子と交代するという遊びです。この両方の手と手をタッチするところに注目してみました。
とてもうまくいくペアも増えていきましたが、一人の勢いのある子が全力で両手を広げてぶつかったことで、相手の子が転んでしまいました。また、相手の子の走ってくる勢いに不安な表情で、タッチのタイミングがとれない子もいました。しかし、回を重ねるごとに子どもたちの身体から力が抜けて、ゲームを楽しむ雰囲気が出ていったのです。終わりごろには、互いの手と手をうまく合わせて、ちょうどよいタッチへと進化していました。タッチをしてすぐにジャンケンポンができると、子どもの表情もとても満足気です。

友だちの力を借りて育ち合う
友だちの力を借りて育ち合う

育ち合う保育の場をしっかり支えていきたい

深い意味の『優しさ』を知る
深い意味の『優しさ』を知る

年少児の転がしドッチボールは、保育者と一緒でないとまだまだゲームが続きません。子どもたちは「ボールそこにあるよ」「○○ちゃん、そっとコロコロしてね」「ボールがあっちに行っちゃったよ」など声をかけてもらいながら、ボールの扱いや転がすタイミング、強さを覚えていきます。
子どもたちが『ちょうどよい』を知る、そして深い意味の『優しさ』を知るのは、まだ先のことです。幼児期に身体を使った遊びをたくさんして、友だちの力を借りて育ち合っていくのでしょう。私たち保育者も子どもの目線を忘れず、育ち合う保育の場をしっかり支えていきたいと思います。保護者のみなさんのご意見も、とても参考になっています。

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