2015/8/18

泣きたい気分

泣くことは子どもの自己表現

子どもはよく泣きますね。忙しいと、つい「わがまま」「駄々をこねている」と思って、いらだちを押さえられないこともありますよね。
私たちは子どもたちと一緒に過ごす中で、子どもには理由がはっきりしない「泣きたい気分」があるのだろうと感じています。幼稚園では「泣く」ことを否定的にとらえず、そのときの自己表現のひとつだと受けとめています。すると、泣く子どもを素直に愛しく思え、寄り添うことができると実感しています。そうすれば、子ども自身も安心するようです。

安心したい欲求が「泣く」という形で表れる

「○○がなくなった」「△△がとれない」「虫がとんできた」「あつい」「さむい」……。子どもは、大人としては「ちょっと待ってよ」と言いたくなるようなことで、泣いて騒ぐときがあります。それが子どもなのですが、わかっていてもつい声を荒げてしまうこともあるでしょう。
ある心理学者の方が「子どもは特に理由がないようでも『泣きたい気分』になることがある」とおっしゃっています。乳児期は「おなかがすいた」などの生理的な欲求を、泣いて訴えます。それとは異なり、幼児期には「さびしい」「そばにいてほしい」などの安心したい欲求があります。その欲求を言葉でうまく表現できないときに「泣く」という形で表れることが多いようです。

泣ける場と雰囲気を作って子どもに接する

大人の役目をしてあげる
大人の役目をしてあげる

幼稚園では、子どもの泣きたい気分を感じたら、そっと抱き寄せて「大丈夫」あるいは「泣いていいよ」と声をかけています。すると、泣きながらぎゅっと抱きついてくることがあります。でも、いつまでもそのままになってしまうわけではありません。その後はスッキリ!! とした表情で、いつもの遊びの輪に入っていくことがほとんどです。子どもが泣ける場を作り、泣いてもいい雰囲気で接してあげることは、大人の役目でしょう。

泣きたい感情を言葉に置きかえることを学ぶ

子どもの安心感を育てる幼稚園
子どもの安心感を育てる幼稚園

もちろん、幼稚園では「だめなことはだめ」という説明はしますし、さまざまな我慢を学ぶ場でもあります。その上で、子どもが泣くのを否定的に考えないことが大切です。
「さみしいのね」「抱っこはうれしいね」「泣いても大丈夫だよ」といった言葉で、子どもの気持ちを代弁して安心させます。安心感が育てば、自分の泣きたい感情を言葉に置きかえることを学んでいけるのです。
年少・年中・年長と進む中で、泣く理由やその様子も変わっていきます。そうして子どもは、心を日々強く育てていくのではないでしょうか。

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