2016/12/20
幼児期から育む人権の心
人権の意識に貫かれた保育環境を準備する
毎年竹の子幼稚園では、10校近くの大学、短期大学の学生さんが教育実習をします。2週間から4週間の実習で、たくさんの学びがあるようです。中でも、幼稚園児が障がいのある子どもたちをすんなりと受け入れて、自然に関わっていく姿には驚きすら感じるようです。
多様な人との出会いが育む人権の意識
実習記録では、次のような記述が見られました。
- 子どもたちと楽しく接する
「あるハンディキャップ自体がつくりだす困難よりも、ハンディキャップがあることから生まれる社会のまなざしや人々の意識やふるまいが障壁をつくりだすのではないだろうか。この障壁をつくりださずに、多様な人を受け入れ、その人に応じた関わりができるのが幼児のしなやかな感覚であろう。その意味で、この時期にこそ同質の限られた子どもたちの集団だけでなく、自分とは異なる特質をもつ多様な人との出会いが大切であり、それが生命を大切に思う人権の意識を培っていくであろう。竹の子幼稚園で実習ができ本当によかった。保育者が、どのような人権意識をもって子どもに具体的に保育環境を準備していくかということでは、運動会の練習においても少しも困ったという表情をせず、前日までどのようにしたらみんなが楽しく力が発揮できるかを話し合い工夫している先生方の姿には、教育の原点をみたような気がしました……」
それぞれの「らしさ」を認め合う場
本園では、子どもたちに至れりつくせりの特別なことはしません。集団の中でその子に必要な配慮や手助けをします。わざわざ「みんなやさしくね」などと言うことも、特別に誉めることもしません。ごく普通に活動し、生活しています。いつもみんな受け入れ合って、必要なときには手を貸したり譲ったりしているのです。だから子どもたちは、多様な領域での能力は一人ひとり違っていることを、ごく自然にしなやかな心で受け入れ合っていけるのでしょう。
しかし、それがすぐにできる訳ではありません。時には予想外のことが起きたり、解決するのに時間がかかったりすることもあります。それぞれが自分の力と可能性を精一杯出しきれる場を、保育の場で準備すること。そしてそこにある情報によって見えない壁を作らずに、その人らしさや有能さを認め合えることが重要だと考えています。
- しなやかな心で受け入れ合う
日々の私たちの仕草や言動が、子どもたちのお手本になっていくであろうという責任を感じています。人権の意識に貫かれた保育環境は、子どもや全ての教職員、そして園に出入りする人々にも居心地の良い場を作り出すと心から思うのです。