2017/8/8
子どもと失敗体験
楽しいことも泣けてしまうことも学びになる
子どもたちは物事のほとんどを、体験を通して理解していきます。特に幼児期の場合は初めて行うことが多いのですから、失敗もたくさんあって当然といえるでしょう。この幼児期の失敗体験を積み重ねていくうちに「世の中の決まりごとの意味」「危険から身を守るための方法」「していいことと悪いこと」「状況に応じて何をするべきか」といった知恵や判断力、いわゆる非認知能力を一つひとつ身に付けていきます。
子どもの行動を見守ろう
- まず、自分でやってみる
子どもが失敗する前に「こうした方がいいよ」「これは危ないからしちゃだめ」「汚れるからやめなさい」と先回りして、つい指示を出してしまっていることはありませんでしょうか。これは結果として、成長の機会を奪ってしまうことにつながります。大人が一生懸命教えても、自分自身の体験を通して覚えていくことにはとてもかなわないでしょう。
とはいえ、子どもに失敗体験をさせるのは大変なこと。特にちょっと目を離すと何をするか分からない幼児の場合は、かなりの時間と根気が必要です。いくら大切と分かっていても「子どもが失敗するのを待っていたらうちのことが何もできないし、もし大ケガでもしたら大変」「危険をどう防ぐのか」といったご意見は当然あるでしょう。たしかに最初はとても手間がかかり大変です。しかし子どもはたくましいもの。失敗から学んで自発的に行動できるようになれば、最初の大変さを忘れるくらい成長していきます。
プール遊びから学んだこと
- 友だちと一緒にいっぱい遊べる
2学期に入るころには、安心して友だちと遊ぶ姿を見せてくれる竹の子幼稚園の年少さん。そのかかわり合いの中には、いくつもの失敗体験が生きています。
ある日のプール遊びのことです。トイレに行かずにプールに入ってから、急におしっこをしたくなったAちゃん。あわててぬれた水着を脱ぎ、トイレにかけ込んで何とか間に合いました。しかし、びしょびしょにぬれた水着は脱ぐのも大変ですが着るのも大変。プールに入ってからトイレに行くのは、とってもめんどうでした。そこで担任は「これからはプールに入る前に必ずおしっこをしようね。そうすると途中でトイレに行きたくならないから、いっぱい遊べるよ」と話したのです。それからAちゃんは、プールをはじめとしたいろいろな活動の前に、自分からトイレへ行くようになりました。
体験が子どもの心を豊かにする
- 心も体も動かしていく
幼稚園では、楽しくて面白くて笑いころげることがいっぱいあります。それと同じくらい嫌なことや、泣けてしまうこともあります。水たまりで遊んだら、靴がびちょびちょになって気持ちが悪いこと。大好きな自分の靴ではなく、幼稚園の靴を履いて帰らなくてはならないこと。こうしたことも、大切な体験になるのです。
私たち保育者は、子どもたちの強さをいつも感じています。失敗体験は子どもの心が傷つくのではないかと心配される方もみえますが、こうしたことでは傷つきません。失敗からたくさんの気付きと学びを得て、人間として豊かに育っていくことでしょう。