2019/5/21

泥だんごを極める遊び

覚悟と理解で保障する作る心の育ち

竹の子名物泥だんごづくり

竹の子幼稚園の名物、泥(土)だんごづくりは一年中人気の遊びです。入園したばかりの年少さんの中にも、小さなおだんごを嬉しそうにみせてくれる子どもがいます。「いつ、こんなにまん丸のおだんごが作れるようになったの?」と尋ねたくなるほどの形のよいおだんごに、しばし見とれてしまいます。毎年、遊ぼう会でも人気です。マイナスイオンたっぷりの柿の木の下で、親子で嬉しそうにおだんご作りをし、見せ合ったり競い合ったりと、実に微笑ましい光景が展開されます。

子どもから子どもへ伝わる

これでうまくいくかな
これでうまくいくかな

泥だんごをまあるく固めて、その上に乾いた土、サラサラの粉のような砂を手でかけて、さらに両手を使ってまあるくするという単純な作業の繰り返し。誰が『だんごづくり教室』を開いたわけでもなく、園庭で毎年伝承されています。
子どもたちの手さばきには、本当に感動します。土や砂の質などによって、微妙にだんごの色や形が変わってくるようです。「ここの土がいいよ」「こっちにもあるよ」とだんご作りに適した土のある場所を教えてくれます。サラサラの砂は三輪車などの置いてあるカーポートやテラスのマットの下、柿の木の根元あたりにあることもよく知っています。
私たちがいちいち教えたことはなく、子どもから子どもへと伝授されているようです。一体なぜこの『だんごづくり』が、こんなにも子どもの心をとりこにするのでしょうか。やってみないとこのおもしろさは分からないようです。

作り出す心・科学する心を育む

現代の文明社会では、TVゲーム、スマホに代表されるように、大人によって作られた遊びが幅をきかせています。作られた枠の中でクリアすることが到達点なのですが、それなりの到達感はあるのでしょう。
しかし幼児期の遊びでは、群れ遊ぶ仲間がいることも大切です。その中で、自分で工夫をしたり困ったり、あれこれやってみながらコツを見つけたり、教え合ったり模倣し合ったり……。遊びを通して、人としての育ちに最も必要な体験を積んでいくのです。
正しい答は一つではなく、その過程での行為そのものが大切なのです。こうした遊びこそが、作り出す心(科学する心に通ずる)を育むのではないでしょうか。到達点はみんな同じでなくても良いのです。その時々に自分で感じ、自分で決めればいいのです。

集中しています
集中しています

幼稚園の覚悟と保護者の理解

年長になると、固さや大きさ、光り具合など、だんごづくりの目標もレベルアップします。年少・年中では、丸いおだんごができたか、大きさはどうか、すぐ壊れてしまわないかといったことから出発します。子どもたちの憧れのおだんごは、まんまるくて、固くて、どっしりと重く、そしてくろ光りしたおだんごです。そこを目指しての、あの集中力はすごいものです。
土や水が子どもたちのまわりに、足下にあることがとても大切であることを、分かっていただけたでしょうか。わざわざ大人に頼んで買ってもらう必要も、手に入れる為にわざわざ遠くまで出かける必要もありません。特別な道具もいりません。
このだんごづくりが根付くには、幼稚園の覚悟が必要です。そして保護者のみなさんの深いご理解がいる時代です。カリキュラムがきちんと時間区切りになっていて、30分刻みで設定されていては、このだんごはできません。大人には取るに足らないようなことが、子どもたちには心を太らせるかけがえのない体験なのです。それを子ども時代(特に幼児期)にしっかり保障したいのです。

みんなで遊ぼう会についてはこちらをご覧ください。
⇒ http://www.take-noko.jp/education/2010082511443883.html

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